京都新聞で1年間の連載スタート

皆さんこんにちは。きものアルチザン京都マーケティングディレクターの石崎です。
いよいよ今年もあと2週間をきりましたね。きものアルチザン京都も今年は様々な始まりの年となった1年でした。

そして11月から京都新聞にて月1回で全12回の連載、「きものを未来へ 〜アルチザンの手技〜」がスタートしました!
記念すべき第1回目はきものアルチザン京都理事長藤井浩一の京鹿の子絞りの特集です!
kyotoshinbun1

藤井浩一が社長を務める藤井絞は創業100年の老舗であり、雪花絞を始め、数多くの新しい絞り染の世界を創り続けている、今やきものファンで知らない人がいないくらいのメーカーです。
京鹿の子絞りは疋田絞りだけでなく、人目絞り、桶絞り、帽子絞りなどその他さまざまな絞り技術の総称で、大陸から日本に伝わってきた最初の防染による文様染の技術とも言われています。そんな素晴らしい表現ができる技術がこのままいくと我々が生きているこの時代に消えてしまうかもしれないという危機に瀕しています。そんなこの時代に藤井絞はまずは積極的にこの絞り染の魅力を様々な観点からきものファンの皆さんに伝える努力をし続けており、一方でこの技術を絶やさないためにいかに次世代の技術者を創出し、伝承していくかを日々考え、努力と創作をし続けています。

 

第2回目は先日12月13日に掲載されたきものアルチザン京都の副理事長である那須修の糊糸目友禅です!
kyotosinbun2

糊糸目友禅は江戸中期に流行した扇絵師「宮崎友禅斎」の構図を表現するために生み出された染色技術で、当時「友禅もよふ」と言われた柄の輪郭を餅粉と糠を合わせて作った糊で置くことで土手を作り、その中に色を挿していくという染色技術です。それまでは絞りと刺繍が柄表現の一般的な技術だったものが友禅染の出現でより表現の幅が広がりました。

那須修が所属する室町京正は知る人ぞ知る日本最高峰の京友禅メーカーの1つであり、江戸時代の技術をいまでも頑なに守り続けています。
友禅技術の命といえる糊糸目は現在は従来の餅糊に加え、現在はゴム糊が多く使われています。ゴム糊は柔らかく、糊を置きやすいので、より細い線をシャープに表現できる利点があります。一方で餅糊はゴム糊に比べて固く、一定の力で糊置きをすることが非常に難しく、細い線を引くことは至難の業とされていますが、糸目といわれる輪郭の仕上がりが非常に柔らかで自然な表現ができることが特徴です。

室町京正はあくまで、この餅糊よる糊糸目にこだわり続けているのですが、その理由としては、あくまで品格を追求した柄表現のためと徹底的に拘る「色」です。ゴム糊は最終的に揮発油で糊を落とすため、わずかに挿した色も変化してしまい、そのわずかな色の差が室町京正が求める色表現に誤差を生み出します。逆に餅糊は水で落ちるので、そのわずかな色表現が保てるのです。
そんな室町京正の頑ななこだわりが美智子皇后陛下をはじめとする皇室のオフィシャルな場での和装の際に現在でも幾度と無く選ばれ、また和装フォーマルの最高峰として日本のセレブの方々に選ばれ続けているのです。

今回ブログでは2回分をまとめてご紹介しましたが、次のアルチザンメンバーの技術の掲載に合わせてアップさせて頂きますので、どうぞ次回をお楽しみに!

今後もこういった記事を通して私たちきものアルチザン京都を知っていただきたいと思います!よろしくお願い致します!